お知
らせ
2012年5月15日

春の一箱古本市に参加しました

こんにちは、鎌倉ちのりです。

大変遅くなりましたが、ご報告です!
5月3日の不忍ブックストリート春の古本市、ぶじ終わりました。

今回は、秋より10冊ほど多い45冊が、
京都ちのりの入魂セレクトによって一箱に収まりました。
ツイッターでも書きましたが、今回のテーマは、

「むかし親戚の家とかの本棚でひっそり見つけてしまった怖い本を集めたような一箱」

でした!
今回の出店場所だった「茶ノ間明の窓」さんは、
昭和の香りのする和風一軒家。
その店内写真を見て、京都ちのりがひらめいたテーマであります。

こういうこわい本の思い出、ありませんか?
私の場合は、毎年家族で訪れていた長野のスキーロッジの本棚にあった、
『ブッダ』でした。手塚治虫の漫画の。
今はきれいな文庫本や豪華本で再発売されていますけども、そこにあったのは、
初版本だったのか、ふつうの漫画本の判型で数十巻ありました。
この表紙の絵がすごくこわかったんですよ。
黒枠がついてて、色もまがまがしく黄ばんでて、
なんか、地獄っぽい感じだったんですよ(うろ覚えですが)。
ひとりじゃ読めなくて、みんながいるロビーの階段で逃げるように読みました。
でも、あのドキドキ感はなにものにも代え難かったと今思うのです。

多かれ少なかれ、こんな記憶を持つ人は多いんじゃないでしょうかと。
そのトキメキをぜひ記憶の底から蘇生させていただきたいと、
そろえたラインナップがこちらです。

ちょっとピンぼけ、ごめんなさい(クリックすると少し大きくなります)
右にある『恐怖』1巻が抜けているのは、私の姉が読んでたからです。ほんとはあります。

 

全景はこんな感じでした。

 

今回のちのりグッズは、この2つでした。

ちのり透明シールセット(5種類×赤黒2色の10枚セット)

耐水透明シール。貼るとこんな感じ。
ちのりちゃんが5人に増殖しました。
フルメンバーはいずれブログでご紹介したいです。
 

名刺保護フィルム「ちしぶきちゃん」

血しぶきが印刷された透明フィルムで、名刺に貼ると
ビシャッとなるという(だけの)アイテムを開発しました。
これすっごく気に入ってるんですけど、貼るととても気持ち悪いです。

 

5月3日は前日からすごい雨でした。
店主さんの出店場所もいろいろと変更され、スタッフさんがとても大変そうでした。
わたしたちは変更なしでしたが、外では出店できないので、
茶ノ間/明の窓さんの店内の畳にビニールシートを敷いて、
くつを脱いで上がってもらうという形式に。

一日中雨は降り続き、お客さんはやはり少なかったと思います。
でも、そのぶん、
心霊写真話で盛り上がったり、
思いがけずいろんな心霊体験をお聞きできたり、
こわいイベントの提案をしていただいたり、
雑司ヶ谷の石仏の写真を見せていただいたり、
医療器具博物館について教えていただいたり、
おひとりおひとりと、楽しい恐怖トークがゆっくりできました。
茶ノ間さんも明の窓さんも、
オーナーの方々がとにかく気さくでとっても楽しい方々で!
そのフレンドリーな空気にとても助けられました。またお会いしたい。

立ち歩けるスペースが少なかったので、
同じ場所で出店した店主さんとあまりお話できなかったのは残念でした。
すてきなアートブックや音楽の本が並ぶ乙女な一箱「amulet」さん、
旅とアウトドアの本、絵ハガキが詰まった骨太な「人力旅人の本棚」さん。
この間にちのり文庫がはさまれた組み合わせ、なかなか素敵だったと思います。
写真におさめておきたかったです。無念。

始まってみたら時間が経つのは早く、あっというまに夕方に。
セレクト担当の京都ちのりが「これは特に傑作」と言っていた本が
5〜6冊ありましたが、すべて早々に売れてしまいました。
店番しながら読もうというセコい企みは叶わず。
やはり、この一箱古本市に来るお客さんは、
そういうのわかっているんだな〜と感心し、
もっともっと精進して、ちのりをのぞいてくださる方たちに、
こわいものをもっと新しいかたちで楽しんでもらいたいなと
反省したりもしつつ、
お手伝いにきてくれた姉と、谷中で和栗モンブランを食べ、
京浜東北線に乗って帰宅した鎌倉ちのりでした。

さて、この不忍に続きまして、
5月はもうひとつ古本市にチャレンジします!
次は、京都・長岡天神での一箱古本市に出店します。5月27日です。
詳しくはまた近々お知らせします。

そうそう、昨年好評いただき完売したマグネット、今回まさかの納品日間違いで
販売できなかったのです。ブログで告知したのに申し訳ありませんでした!
27日の天神さん古本市では2色揃えて販売します。
赤ちのりが増えました。
あと、傷がつきにくいようツルツル加工にしました。
行かれる方は、ぜひ手にとってツルツルしてみてくださいね。

お知
らせ
2012年4月13日

5月、東京で出店します

こんにちは。
全然ブログを更新しないことで定評のある、鎌倉担当です。
鎌倉は今日、桜が満開になりました。
すっかり春。こわいものが楽しい季節が近づいてます。

昨年10月に初出店し、さらに「南陀楼綾繁賞」をいただくという
とっても嬉しいできごととなった、
不忍ブックストリートの一箱古本市。

この春、再び出店させていただきます。

年2回、東京は谷根千で行われるこの古本市、
「春の一箱古本市」はゴールデンウィーク中の2日間にわたって開催され、
秋よりもさらにスケールが大きな催しになっています。
今回も、個性的な一箱がたくさん集まるようです! 楽しみです。

もちろん、「ちのり文庫」も、
とっておきの一箱をお見せします。
「コレだ!」と思えるこわい本だけを
一冊一冊、丁寧に詰め合わせております。

また、前回お買い上げいただいた方へプレゼントしていた
「ちのりちゃんシール」は、今回は、
色が選べるようになるかもしれません。
マグネットなど、暮らしに役立つちのりちゃん小物も、
引き続き販売します。ぜひお持ち帰りいただきたいです。

禍々しさがグレードアップした自慢の品ぞろえを
ぜひのぞきに来てくださいね。

「春の一箱古本市」、
開催日は、4月28日(土)・5月3日(木・祝)。
ちのり文庫は、5月3日に参加です。

最新情報は随時、このブログでお知らせしていこうと思います!
今年もいろいろと活動していく予定ですので、
どうぞよろしくお願いいたします。

不忍ブックストリートについてはこちら
「春の一箱古本市」についてはこちら
5月3日の出店者リストはこちらです。

◎出店場所など
5月3日(木・祝) 11:00〜16:00(終了時刻は予定)
※雨天決行です

ちのり文庫は、「明の窓茶の間」さん(東京都台東区谷中3-9-1)にいます。
※当日お買い上げの方にもれなく、ちのりちゃんシールを差し上げます。
※マップはこちらで配布されています。

当日のお問い合わせは、ツイッター(@chinoribunko)へお気軽にどうぞ!

(鎌倉)

怪談
2012年2月14日

山田野理夫の美しい怪談

 1月24日に山田野理夫氏がお亡くなりになりました。
 その訃報を知った当日、空気を噛むような現実感の無さをぼんやりと引きずりながら、氏の著作を本棚から取り出し、「蝶」という説話を読み返しました。日本怪談の特異な美意識と自然観を改めて思い知らされた、思い入れの深い一編。以下に要約してみます。

 春、旅する侍が一息つこうと一軒のあばら家の戸を叩く。返事が無いので戸を開けてみると、暗い座敷の奥に美しく重なり合った無数の蝶の群れを見る。何事かと思い、灯りとりの戸を開けた瞬間、蝶たちはいっせいに羽音なく飛び立っていってしまう。後に残されたのは、黒髪だけがそのまま残った女の人骨だった。村人が言うには、蝶を愛し求めてこの地に来た女だそうだ。
 
 肉体という拠り所を無くした女性の思いが、それでもなお蝶を求めるあまり、とてつもなく研ぎ澄まされた執着の塊となっていくのでしょう。
 このような現世に残留した強い思いは、恐ろしい怪異を生むのが怪談の常です。しかしこの話では、蝶たちがその感情の発露を引き受けることで、恐怖を超えた鮮烈な光景が怪異として発生します。その光景のこの世ならぬ美しさといったら!

『日本怪談集 – その愛と死と美』山田野理夫(潮文社新書・1967年・新装版)

日本怪談集 – その愛と死と美

 本書に出会ったのは、とある古本市でした。恥ずかしいことに、『怪談実話系2』『東北怪談全集』をきっかけとした再評価とほぼ同時期ながら、その動きを察することなく、恐ろしげな「能面ジャケ」に単純に惹かれたのです。

 氏が日本各地から収集した、民話として伝えられる怪談・幻談の数々は土地土地が古くから醸造してきた風土や民俗の匂いをまとっており、「能面ジャケ」に見た恐怖への期待とは裏腹に、ついつい、怖がることを忘れてえも言われぬ郷愁に浸ってしまいました。
 その中でも特に「蝶」のような、目の覚めるような美が怪異として立ち現れる話にすっかり夢中になってしまったのです。

 花に姿を変え、虫に変化させた男を溶かす女(「花と虫」)。
 阿弥陀仏を一心に求め、口から紅のはすの花を伸ばして絶命する無頼漢(「出家と花」)。
 弔いの朝顔の傍らで、両親に微笑みかける娘の亡霊(「朝顔」)。
 
 都会的でドライな実話怪談を貪り過ぎていたからでしょうか、本来日本怪談が秘めていた、人間の情念と自然が織りなす夢幻なる美の魅力を忘れていたことに、この作品でようやく気付くことができました。
 小泉八雲『怪談』をまた新鮮な気持ちで味わえるかなと、しとやかな美しさを湛え出した表紙の能面をじっと見すえた覚えがあります。
 そして、本書で描かれたように、人間が「怪談」として怖々と受け止める領域に動物や植物がたやすく関われるのであれば、死の向こう側の世界も「自然の摂理」の輪の中にあるのではないか。そんなことを夢想するのです。
 どうか、山田野理夫氏の魂が日本の美しい自然と共にありますよう。

(京都)